MENU

鉄砲と黒船とGAFA

musket gun

21世紀に入って、もう20年経ってしまいました。
ノストラダムスの大予言に「やっぱりガセだったよな。五島某は俺の子供時代の恐怖を償え」と振り返り、「2000年問題ヤバい、世界が止まる」とシステム対応にあたふたした頃から、もうそんなに経っちゃったんですね。

その間、日本は経済的に成長していません。

2000年と2020年の名目GDP(米ドル建)を比較すると、日本は103%にしかなりません。
ほとんど成長していないですね。
一方で、米国は203%、ドイツは195%と、ほぼ倍になっています。
つまり、米国やドイツの目からは、日本は「20年で半分に縮んだ」と思われています。
これが現実です。

中国に至っては、1212%です。
なんと、12倍ですよ(計数はIMF World Economic Outlookより)。
我々は、いま「危機」にあることを認識し「覚醒」しないといけませんね。

しかしながら、日本は並の国ではありません。
いままでの歴史のなかで、世界からの脅威に直面しても、それを克服し跳ね返してきた実績・経験があります。

すこし、従来の教科書的な表現ではなく、若干ヒネった表現で書いてみますが、そういう見方で日本の歴史を振り返って見ると、そのことが際立ちます。
見ていきましょう。

16世紀の大航海時代、初めて特定の国家が世界の利権を「独占」することになりました。
ポルトガル・スペインです。
その「無敵艦隊」はアフリカ・アジア・アメリカと、世界中に橋頭堡を築き、世界の交易の利益を独占します。
その過程で、多くの国・民族が、馬と鉄砲の力によって、絶滅・服属するに至りました。

ご存じのように、日本にもその最強の「南蛮人」はやってきました。
彼らが日本のキリスト教国化と植民地化を目論んでいたことは、当時の文献から明白です。

ただし、これもご存じのように、日本人は結果として絶滅も服属もしませんでした。

既存の兵器による戦闘を無力化する新兵器を「ゲームチェンジャー」と呼びますが、欧州が開発した無敵ハイテク兵器の鉄砲はまさに「ゲームチェンジャー」で、日本にとっては「脅威」でした。

ところが、日本人は、ポルトガル人から初めて鉄砲を受け取って以来、たったの2年で国産化を達成し、戦国末期には50万挺以上を保有する世界最大の鉄砲保有国になりました。
さらには、豊臣秀吉は国内を武力統一し、足掛け7年にも及ぶ外征の実績で「威嚇」することにより、いかなる外国の侵略意図も萎えさせる「抑止力」を手に入れました。
ここには、世界の覇権国・スペイン・ポルトガルと敢えて対決する、という秀吉の「覚悟」もあった、と私は思います。
また、現在の欧米諸国の支配層は、この日本による「奇跡の大逆転」の実績を、今も認識していると私は思います。

ただ、その秀吉は、国内統一の過程で武士以外の武装解除を断行し、また、徳川幕府も、各藩を監視し、その軍備を含む勢力伸張を強力に抑制しました。
それは、260年にもわたる平和をもたらしてくれましたが、せっかくの「世界最強の戦闘力」は見る影もなく衰退しました。

そうしている間に、欧州は英国を革切りに蒸気機関の発明による産業革命・動力革命を成し遂げ、新たな「ゲームチェンジャー」を手にしました。日本にとっては、それは、幕末に遭遇した軍艦「黒船」でしたし(とはいえ、実は黒船の半分は帆船でしたが・・・)、開国以降に直面した大量生産の安価な工業製品でした。

しかし、そこでも日本人は再度「脅威の粘り腰」を見せます。

1867年の明治の御一新以降、日本は欧米以外では工業化に最初に成功し、早々に1930年代には綿工業では元祖・英国のランカシャーを圧倒、軍事的にも、1940年代、巨大戦艦と空母・航空機を使った機動戦で米国と真っ正面から渡り合った世界で唯一の国となりました(当時は多分日本以外には無理)。
このことも、欧米諸国の支配層は、日本の強靱さの実績としてしっかり記憶・認識していると私は思います。

米国との戦いには敗れ、国は一旦灰燼に帰したものの、覇権国・米国の庇護下に入ったことをむしろ奇貨として、軍事費を切り詰め、工業化に全力を集中した結果、1990年代初には、日本製の自動車・家電・DRAMが世界を席巻するに至りました。

明治以降の日本人が世界を相手に「中央突破」を目指し、その達成のための血の滲むような努力をした底流には、国民総体として相当の「覚悟」があった、と私は思います。

ところが、日本の対米貿易黒字と派手な米国不動産買収などが覇権国・米国に対する挑戦であると認識され逆鱗に触れる形となり、米国に様々な形で執拗に頭を押さえつけられて、今日に至ります。
その間、日本は製造業に拘泥・固執する中で、これに対して米国は、産業の情報化・サービス化への転換を着々と進めました。その結実が、今日の「GAFA」です。
現在の日本はGAFAの草刈場と化し、対する日本はこれらに匹敵する競合大手を生み出せないでいます。

そのようにして、日本はいま、その潜在的な実力に照らすと、理不尽なまでに「割安」な状態にあります。この20年間でGDPが増えていない、ということはそういうことです。

この「割安感」を逆用して、国民の努力で「適正価値」まで引き上げ、その過程で得た利潤を国民に還元するか、はたまた、玄関から土足で押し入られるように、外国にカネの力で国ごと「割安で買収」されて解体されるか、今が別れ道なのではないでしょうか。
今こそ、日本の「覚醒」と「覚悟」が求められている、と私は感じます。
さて、皆さまはどうお考えになりますか。

Clker-Free-Vector-ImagesによるPixabayからの画像

musket gun

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次