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『片目猿』は斎藤道三の国盗り物語

斎藤道三の家紋

今回ご紹介するのは『片目猿』(横山光輝)。1963年の作品です。
主人公は片目猿と呼ばれる万能の忍者と、油屋庄五郎ことのちの斎藤道三です。
はい、大河ドラマ『麒麟が来る』ブームに乗りました。

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神出鬼没、超有能な片目猿

主人公は伊賀の忍者「猿彦」。任務の途中で怪我を負い、油屋庄五郎に救われます。
この出会いをきっかけとして猿彦と庄五郎は二人三脚で美濃国(岐阜県)を治める大名を目指します。

この猿彦が忍者として超優秀な上に、黒田官兵衛並に作戦立案能力もあって軍師的な働きもします。隠密として日本各地の情報を1人で集めてきたかと思えば、何百人の軍勢の指揮も取ります。架空のキャラクターとはいえチート過ぎでしょ。滝川一益か。

斎藤道三とW主役

本作のもう一人の主人公はのちに斎藤道三となる油屋庄五郎です。
現在では斎藤道三の出自は長井家で生まれながらの武士であったというのが定説です。

油屋から身を起こしたという話は俗説ですが、本作では油屋から猿彦の助けを借りて長井家の者に認められ、長井庄五郎と名乗ることになります。

これも俗説ですが、長井庄五郎は槍術に優れ、紐でぶら下げた銅銭の穴に槍を正確に通したという逸話があります。それで大河初登場シーンでも槍を持って出てきたんでしょうね。
本作でも当初は槍使いの設定が残っており、武士になるための腕試しで槍をふるっています。

史実でも勇猛果敢な武将だったようで、記録によると土岐氏の家来だった時代に参加したある合戦で敵方の首を多数取ったという猛将ぶりを発揮しています。

本作ではスーパー忍者猿彦に助けられることが多いですが、機転の利く名将として美濃国で成り上がっていきます。

織田信秀も出てくるよ

既に大河ドラマで放送された「加納口の戦い(井ノ口の戦い)」が本作のハイライトです。本作では織田信長は出てきませんが、長井庄五郎のライバルとして織田信秀が立ちはだかります。

庄五郎が治めることになった美濃国に何度も攻め入ってきます。猿彦の活躍と庄五郎の機智でなんとか切り抜けるのですが、手に汗握る死闘が繰り広げられます。

信長に比べて陰の薄い信秀ですが信長時代の基礎を作った名将だったことが、これも近年の調査で判明しています。楽市楽座も信秀の時代から尾張の津島で実施済だったという説もあります。

発表時期の古い作品なのでなかなか入手困難ですが、大河ドラマで斎藤道三に興味を持たれた方にはお薦めしたい一作です。

斎藤道三の家紋

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